【宿泊記】紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良

6月上旬、誕生日のお祝いも兼ねて奈良県へ家族旅行に。
旅行とあわせて開業時から気になっていた「紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良」へホテル視察とあわせて宿泊してきました。

ホテルメイン棟エントランス
知事公舎の表札はそのまま残されています

旧奈良県知事公舎をリノベーションしたホテル(公的かつ歴史的建造物をリノベしている)という点と、写真を見る限り古き良き日本の伝統を現代風に再解釈したであろう客室デザインに惹かれて、タイミングをみて宿泊したいと目をつけていたホテルでした。

紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良

紫翠ラグジュアリーコレクションホテル奈良は、2023年8月に開業したホテル。
旧奈良県知事公舎と吉城園周辺地区の歴史的建築を活用してつくられており、設計監修・インテリアデザインは隈研吾建築都市設計事務所が手がけています。

「伝統と現代の結節点」をコンセプトに歴史的建築と新築棟を丁寧に融合させている点が非常に魅力です。(私も惹かれたポイント)

そして、立地も素晴らしく!ホテルは奈良の最大の観光地である奈良公園内に位置します。そのため、東大寺などの世界遺産へのアクセスも良く、敷地内に野生の鹿も訪れるような唯一無二の場所に佇んでいました。(立地だけでも訪れたくなる場所ですね!)

鹿が隠れている愛くるしいロゴデザイン

伝統と現在を結ぶホテル

旧奈良県知事公舎のメイン棟エントランスを入ると、右側に鶴と紅葉、左側に梅と小鳥が描かれた杉戸絵と松アートがお出迎えしてくれました。他のホテルではなかなか出来ない体験です。

チェックインはメイン棟のラウンジスペース「寧楽(なら)」にてウェルカムドリンク(和紅茶)をいただきながらの手続き。大正ガラスがはめられた大きな窓、格天井、深緑色の砂壁に囲まれた和洋折衷の美しいラウンジに高揚感がとまりません。

知事公舎の迎賓の間であった場
色や張地の素材により現代風にアレンジされていますね

ラウンジの隣には、昭和天皇がサンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約の批准書に署名をされた「ご認証の間」が公開されています。

チェックイン後には、ホテルに隣接する茶寮「世世(ぜぜ)」にて、フリードリンクとお菓子を堪能できました。

世世は「世尊院」をリノベーションしてつくられた建物
風情のある外観

こちらには鶴と松の杉戸絵がありました
ノンアルコールシャンパンと奈良県でつくられたお菓子

奈良の歴史・風景・文化・伝統を紡ぐホテル

そして、楽しみにしていた客室へ。
客室に入ってまず最初に感じたことは、「奈良の風景や伝統文化を抽象的に空間で表現している」ということです。
わかりやすい和!奈良!の柄で表現したり、わかりやすい柄を取り入れるのではなく、奈良公園の庭園風景、苔、石や石畳、山並み、雲、金、、、などという奈良の風景や伝統文化を抽象化して素材やオリジナルデザインで空間へ落とし込んでいるような印象を受けました。

客室全体
繰り返し使われている間仕切りのモチーフや苔庭のようなカーペットが目を惹きます

ベッド上の木パネルを開けると洗面所と繋がるというユニークな設計です。

なぐり加工の木パネルと間接照明が美しい

広縁には伝統文様を彷彿とさせるテーブルとソファが配置されており、こちらからホテルの日本庭園を臨めます。

ソファのフレームに充電用コンセントが埋め込まれており
利便性も加味されたソファでした
石の上にできる苔のようなソファ張地と
山並みや雲を連想させるクッションの柄

有田焼の色鮮やかな茶器で奈良の和紅茶を味わえます
文様柄の奈良の伝統である麻織物アート

奈良の春日大社などでも使われている「丹色(にいろ)」の箱
金の手鏡

宿泊後に詳しく調べたところ、客室で繰り返し使われていたモチーフ(下記写真のように家具デザインにも使用されています)は、奈良時代にシルクロードを通じて伝わった文様をモチーフにした「いばらアーチ」と名付けられたものでした。(元々はメイン棟レストラン「正倉」の入口デザインとして使われていたモチーフ)

広縁と寝室の境界に施されそれぞれの場所で過ごす時間と空間を心地よく仕切りつつ、古代と現在を繋ぐ役目にもなっています。(なんてロマンチックなデザイン!)

ドリンクコーナーキャビネット
クローゼット
ナイトテーブル

ホテルの庭園でのんびりする野生の鹿を眺められたり、ホテルへ遊びにくる鹿と戯れられたり、、、これもまたこの宿でしかできない貴重な体験ですね。

image
自然界で暮らす鹿を眺めているよう
鹿と戯れる我が子

ホテルのメイン棟と宿泊棟の間にある「時の道」
夕暮れ時の宿泊棟の雰囲気も風情があります

奈良の現在、そして宿泊して感じたこと

約15年ぶりの奈良旅。前回は海外の観光客は全然見かけなかった印象ですが、今回はインバウンドで街が溢れていて(平日に見かけたのはインバウンドか修学旅行生かの2択)、インバウンド需要の高まりにも驚きです。
地元の方のお話で、大阪や京都からアクセスが良いこともあってかここ数年で海外の観光客が激増したと伺いました。(それにも関わらず、奈良はホテルの数が日本最下位だそう。確かに、京都・大阪から日帰りでも観光できますよね。一方で、今回宿泊したホテルのような希少価値の高いホテルが増えれば、宿泊客も増えるのではないでしょうか。)

ホテル近くの奈良県庁の展望デッキ
奈良の街を一望できます
ホテルから歩いて行ける東大寺
圧巻の世界最大の木造建築です

お仕事では宿泊施設の空間づくりもメインでしているので、今回の旅では「何に感情が揺さぶられるか」「この宿ならではの魅力はなにか」という視点でもホテル視察をしました。
立地や導線、素材、モチーフの統一、利便性、快適性、装飾品、照明、香り、スタッフの方の所作まで、一つひとつに素晴らしい宿づくりのための理由があり、その積み重ねが「また泊まりたい」というゲストの宿泊体験や、宿の世界観の統一につながるのだなと実感。
私もただおしゃれな空間をつくるのではなく、”その土地だから・その宿だからこそ特別な体験ができる世界観のある宿づくり”を目指していきたいです!